兵食協ニュース
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- その「低温調理」は安全ですか?
ローストビーフやサラダチキンがしっとりと柔らかく仕上がるとして「低温調理」が広がっています。大手レシピサイトで「低温調理」と検索すると1,000件以上もヒットするほど浸透し、近年、飲食店のメニューとしても家庭料理としても人気が高まっています。
こうした背景もあってか、この低温調理が原因食品となった、または加熱不十分な調理が原因と疑われる食中毒が増えているんです。いったいどういうことなんでしょう。
そもそも低温調理とは、肉などの食材を保存袋などに空気を抜いて入れ、温度を一定に保って湯煎する等、通常の煮る・焼く・蒸すよりも低温で調理する方法です。通常よりも低温で時間をかけて加熱することでしっとりとジューシーに仕上がり、高級ホテルのような味わいの料理として扱うお店、楽しむ人が増えているようです。
ですが、低温調理では加熱が不十分になりがちです。もともと肉や魚には食中毒の原因となる細菌が付着していることがあり、不十分な加熱では細菌を死滅させるどころか、ほどよい温度となってしまい食中毒菌を増殖させることに繋がりかねません。
例えば、内閣府にある食品安全委員会が、お肉を安全においしく調理する時のコツをいくつか紹介しています。
○ポイント1 低温調理は思っている以上に時間がかかります!
肉の中心温度を設定温度まで加熱させるには、思っている以上に時間がかかります。
鶏ムネ肉(約300g、厚さ約3cm)の場合、63℃の湯に漬けると中心温度が63℃になるのに平均68分かかりました。また、牛のモモ肉(約300g、厚さ約4cm)では同じ温度になるのに約100分もかかりました。この時間は肉の厚さ、量によっても大きく変わってきます。また、63℃よりも低い温度に設定した場合の調理時間は1時間以上必要となるなどより長時間となります。
○ポイント2 肉の見た目だけで安全な加熱ができたかを判断するのは困難です!
鶏肉の場合、食中毒を防ぐには中心温度で63℃ 30分間の加熱維持が必要です。ところが、中心の温度が63℃に達してすぐの未完成のお肉の外観と、きちんと中心まで63℃ 30分加熱したお肉の外見はほぼ同じであり、また、切った断面を比べても違いがありませんでした。色が異なっていれば見た目で判断できますが、低温調理では見た目で判断できないため、特に注意が必要です。
食中毒は、食べ物に付いた食中毒の原因となる細菌やウイルス等が体の中へ入ることで起こります。「つけない」「増やさない」「やっつける」という食中毒予防の三原則を守って食中毒を防ぎ、おいしく安全に料理を楽しみましょう。
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