兵食協ニュース

食中毒予防対策~トイレから汚染を持ち込まないために~

今回は「トイレ」をキーワードに食中毒の予防対策についてお話します。

平成23年度に長野県北信保健福祉事務所が「トイレを起点とするノロウイルス汚染拡大の検証」という興味深い実験を行っています(食品衛生研究第62号.2012)。

実験(1)水様性下痢便の跳ね返り実験・和式トイレ編、

実験(2)洋式トイレ編、

実験(3)排便後肛門拭き取り時の手の汚染実験、という3つの実験です。

実験(1)及び(2)では、下痢便の状態を再現できる青色に着色した特別な液体を水様性の下痢便にみたてて、疑似水様下痢便とし、全身を白い被服でおおわれた実験者が排便姿勢で肛門部分から勢いよく排出した場合に、被服や周囲への汚染状況を調べ、実験(3)では、疑似水様下痢便を排出後、肛門周囲をトイレットペーパーで拭き取った際の手指などへの汚染状況を調べました。実験(1)~(3)全てで被服や靴は白色としているので汚れ具合が良くわかります。

実験(1)(2)の結果は、特に和式トイレで、お尻や靴やズボンが青く染まり疑似水様下痢便で汚染され、便器の周囲も広範囲に疑似水様下痢便が飛散していました。

また、和式トイレでも洋式トイレでも、お尻やふとももへ疑似水様下痢便が飛散していました。実験(3)の結果は、巻き取ったトイレットペーパーに覆われていなかった母指球(親指の付け根のふくらみ)、手首に加えて袖口まで汚れていました。

では、母指球も手首もすべてトイレットペーパーで覆えばいいのでは?という方には、「ふん便の特殊性と糞便汚染指標菌(大腸菌)の測定」(日本防菌防黴学会誌.1991)の結果をお伝えしましょう。大腸菌を含む液体をトイレットペーパーにごく少量たらしてみて、大腸菌が何枚まで浸透するかという実験の結果、なんと36枚目でやっと菌数が0になったそうです。固形便でもウォッシュレットを使った後に拭き取ると同じような現象が起きると考えられています。

拭き取り1回につきトイレットペーパー36枚は現実的ではありません。

目には見えなくても確実に汚れている手で、レバーを触り、ドアノブを触り、トイレ内の汚染を拡大させているのです。

というわけで、

1.トイレはできれば洋式トイレが望ましく、トイレ専用の履物を必ず用意して履き替える。

2.トイレの外で上着を脱ぎ、長袖の場合は袖口をまくる。

3.トイレの清掃はマニュアルを作成してこまめに行う。

4.手洗いは石けんを使用し、母指球周囲や手首も念入りに洗う。

目に見えないトイレの汚れを、食品を取り扱う現場に持ち込むことがないように注意しましょう。

百聞は一見に如かず、長野県北信保健福祉事務所の実験結果を検索してぜひご覧ください。

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